深谷温泉

温泉
みとや深谷温泉ふかたに荘

 今回ご紹介する温泉は島根県雲南うんなん三刀屋みとや町にある深谷ふかたに温泉です。

 島根県の南東部、県庁所在地である松江市や県内第二の都市である出雲市の南側にあるのが雲南市です。その名の通り島根県東部の旧名である出雲国いずものくにの南に位置し、平成の大合併で複数の町村が合併した結果誕生した、比較的歴史の浅い地方自治体となります。深谷温泉は市域の西部、旧・飯石いいし郡三刀屋町の山深くに存在します。

https://maps.app.goo.gl/vJ9CmP9MZWViZSX1A

雲南の秘湯

 雲南市は幹線交通路である JR 木次きすき線や松江自動車道、国道 54 号線が南北に通っていますが、深谷温泉へ向かうには国道 54 号線を利用します。鉄道利用の場合は木次線の木次駅、高速道路利用の場合は松江自動車道・三刀屋木次 ICインターチェンジ から国道 54 号線へ出て、車で向かうことになるでしょう。不慣れな山道を行くことになるので、まず間違いなくカーナビのお世話になるでしょうが、一点だけ注意することがあります。それは決してカーナビとして Google マップを利用してはいけないということです。

 なぜなのか、説明しましょう。ふつう、雲南市の市街地である木次から深谷温泉に向かうには、国道 54 号線から県道 185 号・三刀屋佐田線へ分岐します。ところが、 Google マップは国道 54 号線から素直に三刀屋佐田線に分岐せず、なぜか分帰路を通り過ぎて飯石ふれあい農道へと進み、そこから林道を経由して県道三刀屋佐田線へ戻るという謎の案内を行うのです。

Google マップが案内するルート
【参考】ツーリングサポーター( NaviTime 系)が案内するルート
【参考】いつも NAVI (ゼンリン系)が案内するルート
【参考】 Yahoo マップが案内するルート

 特に問題なのが、飯石ふれあい林道から県道三刀屋佐田線へ移行するのに、林道を利用する点です。

問題の区間(赤丸で示した部分)

 今回、うっかりわたしも Google マップの案内に従ってこのルートを通ってしまったのですが、この区間はマジで地獄です。いちおうアスファルトで舗装されてはいるものの、その表面は朽ちて腐葉土と化した落ち葉でびっしりと全面が覆われ、枯れ枝と呼ぶのは太過ぎる木片が散乱しています。しかもそれらは路側からあふれ出た水でぐっしょりと濡れており、車のタイヤがズルズルと滑りまくること必至の様相を呈します。また、道の側面にはほとんど人手が入っていないと思われる竹林が密生しており、道路へとその枝葉を伸ばしています。場所によっては見通せるのは地上から 1m まで、それ以上はカーテンのような竹の葉に覆い尽くされていて、先が全く見通せないところすらあるのです。ただでさえ傾斜度が 10% 近いつづら折りの細い道が続いているというのに、道路状況がその有様です。わたしはたまたま未舗装路ダートが走破可能なアドベンチャーバイクであるホンダ NX400 で挑めましたからまだ何とかなりましたが、ふつうの自動車に乗っていたら完全に詰んだと思われます。なので、深谷温泉に向かう場合には Google マップは絶対に使用せず、細道回避機能を持った他のカーナビを使用してください。

親戚のおじさんの家?

 そんな苦労を重ねてようやくたどり着ける深谷温泉ですが、存在するのは ふかたに荘という施設一軒きりです。

深谷温泉ふかたに荘
深谷温泉ふかたに荘は、男性用浴場・女性用浴場をはじめ、会合等にも便利な和室(12.5畳・7.5畳)や、ひとときおくつろぎ頂けるラウンジもあります。悠久の浪漫をいまに残す深山のいで湯をお楽しみください。

 いちおう、雲南市が保有し、指定管理者が運営する公営施設なので、市営バスも通っていますが、便数は推して知るべしです。

一 日 二 便

 施設そのものもこぢんまりとしたものです。

施設全景

 ぶっちゃけ、民家と大差ありません。マジで親戚のおじさんかな? 最近になって新設したものか、まだ苔むしていない真新しい水車があったりします。

水車

施設内

 建物内部も質素なものです。入り口を入ると受付とロビー、後は地元の会合などで使える畳敷きの和室があるきりで、食事を取れるレストランなどはありません。以前は食事の提供を行っていたそうですが、現在は休止中とのこと。どうしても食事を取りたい場合は一週間前までに弁当配達を予約する必要があります。クッソ山の中なので、当然近所にコンビニがあったりしませんしね。そもそもロビーに飲料の自動販売機すら置いてないし。いちおう飲料の納められた冷蔵ケースが置いてあるので、そこから自分で飲み物(ビールも置いてあったけど、酒を飲んでしまったら、どうやって帰るんだ? )を取り出して、管理人のおじさんから現金で買うことはできます。

料金

 日帰り入浴の利用料金は大人 400 円です( 2025 年 4 月現在)。先月までは 310 円だったらしい。クソ安。

浴場

 浴場は男女別に分かれた浴場があるきりで、貸し切りの家族風呂などはありません。

 そもそも浴場は六畳ほどの広さの洗い場にカランが三つあるきりで、浴槽も大人が四人も入ったらミチミチになるサイズ。本当に親戚のおじさん家じゃないの? 洗い場にリンス・イン・シャンプーとボディソープのボトルが常備してあるのが奇跡に近い感じです。

 ちなみに温泉のお湯は透明ではあるものの若干黄色みを帯びたもので、“黄金の湯”といった風情。ただし、硫黄などの匂いはありません。もちろん、源泉の掛け流しです。ただし源泉は温度 16 度の冷鉱泉とのことなので、加温はしていると思いますけれど。

深山幽谷

 実はこの施設、わたしは 9 年前にも一度訪れたことがあるのですが、そのときは何と au の携帯電話圏外でした。今回はふつうにロビーでくつろいでいても 4G の電波がバッチリ届いてました。でも、他のキャリアだとどうなんだろーなー? そんなことが気になるくらい思い切り山奥にある一軒家の温泉なのでした。

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