今回ご紹介する日帰り温泉施設は岡山県苫田郡鏡野町にある“奥津温泉 花美人の里”です。
鏡野町は岡山県の北端、鳥取県との県境にある町です。かつて美作国あるいは作州と呼ばれたこの辺りは山深い中国山地のただ中に当たり、残念ながら古くから長期的に安定して治世を行う有力者が現れることはついぞありませんでした。古代には吉備氏なる氏族が吉備国を建てましたが、大和朝廷によって弱体化させられています。平安時代の後期には平氏の知行国となっていましたが、ご承知の通り源平の争いで平氏は滅亡。続いて鎌倉時代にこの地を領した武家の梶原氏や和田氏は鎌倉幕府内部の勢力争いに敗れて、相次いで族滅されました。室町時代から戦国時代にかけても、周辺で有力だった山名氏、赤松氏、尼子氏、浦上氏、宇喜多氏など、支配する大名が度々代わることになります。関ヶ原の合戦以降、この地は小早川氏の地領となりますが、これまたごく短期間で改易されています。その後も森氏や徳川の分家が入封したり、幕府直轄の代官所が置かれたりしたようです。明治以降は紆余曲折あって山陽側の岡山県に属することとなり、県北地域1となっています。
作州三湯
奥津温泉はこの美作国に古くからある温泉で、江戸時代には森氏が治める津山藩の湯治場に指定されるほどでした(温泉水を利用した足踏み洗濯が有名で、藩主が一般の利用を禁じ、番人を置いて鍵をかけるほどだったとか)。湯郷温泉、湯原温泉とならんで、旧・美作国内にある三つの有名温泉地“美作三湯”の一つに数えられています。
奥津温泉では現在でもいくつかの温泉宿が営業していますが、日帰り入浴の専門施設として営業しているのが“花美人の里”になります。

中国縦貫自動車道の院庄 IC から鳥取県倉吉市に向かって鏡野町内を南北に貫く国道 179 号線を北上すると、向かって左手に苫田ダムのダム湖である奥津湖を望むことができます。そのまま吉井川沿いに国道を進むと左手に道の駅 奥津温泉があり、その奥、吉井川沿いに温泉街が広がっています。“花美人の里”へは道の駅の先にある交差点を曲がり、吉井川に向かって続く坂を下って、突き当たりを左に曲がることになります。橋を渡ってすぐ左手が“花美人の里”です。今回わたしが訪れたときはちょうど桜の時期で、満開の桜の花が出迎えてくれました。

写真をご覧の通り、道沿いに木組み構造の上に瓦を載せた回廊が続き、反対側に駐車場があります。吉井川に一番近い大きな建物が“花美人の里”になります。

入ってすぐのところで靴を脱いでロッカーに預け、すぐ傍にある券売機でチケットを購入して受付の係に手渡します。
利用料金
利用料金は大人一人 880 円です( 2025 年 4 月現在)。券売機は電子マネー対応のもので、利用料金の支払いは現金の他、電子マネーを利用することもできます。
残念ながら都合により貸し切りの家族風呂が休止中で、今のところは大浴場のみ利用可とのこと。大浴場は一階と二階にあり、日によって男女入れ替え制になっています。わたしが訪れた日は男風呂が一階に割り当てられていました。
浴槽
大浴場は天井が高くてかなり広く、洗い場もシャワー & カランが 10 以上並んでいます。浴槽は内湯に石造りの大きなものが二つあります。片方はジェットバス装備でお湯がガワガワ沸き立つダイナミックなもので、もう片方はちょいとぬるめのお湯がほんの少し薄暗いところに静かに張られていて、ゆっくりとくつろぐことができます。他に、かなりジェットの激しいジャグジーもありました。また、少々小ぶりながらサウナ & 水風呂も完備されています。
露天風呂の方にはシルク風呂を自称する、白濁したお湯が満たされています。これはお湯に化学成分の混ぜ物をしたわけではなく、ミクロサイズの微細な泡を吹き込んであるとのこと。マイクロバブルの作用でお肌がつるつるになるんだそうな。
ちなみに、脱衣場にはガムテープのロールと謎の箱とが常備されていました。そばに張り出された説明文によると、温かいお風呂場にはよくカメムシが迷い込んでくるとのこと。もし見つけたら、下手に刺激せず、そっとガムテープにくっつけて包み込み、謎の箱へと入れておいて欲しいそう。そら、下手な対応を取ると、強烈な臭気で環境テロを引き起こすからね、あいつら。ってか、カメムシネタは ReGLOSS の火威 青くゆだけにしてくれ!
他施設
ここは大浴場が広いだけでなく、ロビーや休憩所も広々としています。設置された自動販売機の一部は電子マネー対応の機械なので、ここでも現金要らず。

テーブルやマッサージチェアの他、畳敷きの和室も完備しています。

ちなみに、食事を取りたい方は隣の建物にイタ飯屋がありますので、そちらへどうぞ。


当然、彼女もいます
そして、「有名な温泉地」となれば、当然彼女もいます。

そう、毎度おなじみ温泉むすめでございます。当地、奥津温泉担当は奥津かがみとのこと。キャラデザが神岡ちろる なので、ホロライブの おかゆん と同じ神岡一族ってことじゃねえか。

よく見たら、“中の人”の書いたサイン色紙まで置いてありました。色々と残念すぎる。
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