スカイウェーブ 250

バイク
スカイウェーブ 250

 新車のホンダ PCX を購入してわずか半年あまりでバイクの買い換えを決心したわたし。さて、次なるバイクの候補は……。

ビッグスクーター

 ってなわけで、買い替えるバイク候補の選定に入ったわけですが、まず第一の選定条件は「 PCX と同じスクーターであること」でした。わたしが保有する自動二輪車免許には「 AT 限定」という条件はないので、別にスクーターでなくとも法令上の問題はないワケですが、 PCX に乗り慣れていたわたしはスクーターのイージーライディングさにも慣れ親しんでいました。やはり面倒なシフトチェンジ操作やクラッチ操作のないスクーターはとにかく運転が楽なのです。ということは、世に言う“ビッグスクーター”と呼ばれるカテゴリーのバイクってことになります。

 ビッグスクーターに絞ったとしても、エンジン排気量 125c.c. の原付二種スクーターからステップアップする先の、より排気量が大きい移行先としては様々な選択肢が考えられます。ざっと大まかに考えても、

  1. 排気量 150c.c. 前後の“軽二輪スクーター”
  2. 排気量 250c.c. 前後の“中型スクーター”
  3. 排気量 400c.c. 前後の”大型スクーター”

くらいは思いつきます。

 実際にはこれ以上の排気量がある、ヤマハ TMAX やホンダ・ゴールドウイングといったバケモノスクーター(ゴールドウイングは変速機構が DCT になっているだけで、アレをスクーターと呼ぶには語弊がありますが)も存在しますが、大型自動二輪免許を保有していないわたしは法令上の制限から、自動的にこれらのモンスタースクーターは選択肢から外れることになります。

 第一の候補となる軽二輪スクーターは排気量以外の仕様が原付二種とほぼ共通なものが大半でした。そもそも日本の原付二種スクーターは東南アジアなどでメジャーな軽二輪スクーターを日本の法令に合わせてデチューンした場合が多く、共通点が多いことは当たり前です。しかし、今回のわたしのバイク買い換えの原因である「ロングツーリングが多いので、高速道路を快適に走行できるバイクが欲しい」を勘案すると、このクラスのバイクは少々非力と判断せざるを得ません。確かに法令上は高速道路を走行できますが、自動車専用道になった郊外の国道バイパスをインターチェンジ二つ三つ分走るのならともかく、上り下りの多い山地を通ることも多い主要高速道路を何百キロも走るとなると、小さな車体と必要最小限の排気量しかないエンジンは役不足でしょう。

 しかし、逆に余裕の大きな大型スクーターは市場に出回っている種類が少ない上に車両本体価格も高価で、なかなか選択肢に入れづらいところです。

 スクーターというとイタリアのランブレッタやピアッジオ、イタルジェット、台湾のキムコ、ドイツの BMW のような海外勢も考えられますが、価格や修理部品の入手性を考えると、やはり田舎の山陰では選びがたいのが実情です。

 必然的に、最有力の候補は排気量 250c.c. 前後の国産中型スクーターとなりました。このクラスならそこそこのサイズの車体サイズがあり、エンジンのパワーも高速道路を巡行するのにそう困りません。しかもこのクラスのスクーターは 1990 年代から 2010 年代前後にブームがあって、現行の車種こそ減っているものの、中古車市場には様々な車種が潤沢に存在しています(もちろん修理部品やカスタムパーツの入手性も最高)。わたしとつき合いがあった、 PCX を購入したバイクショップにも、程度のよい 250c.c. クラススクーターの中古車在庫が数台ありました。その中で、わたしが選んだのはスズキのスカイウェーブ 250 でした。新車から半年しか乗っていない人気車種の PCX を下取りにしたので、 250c.c. ビッグスクーターにしては廉価に購入できたと思います。

スカイウェーブとは

 スカイウェーブシリーズは日本が世界に誇る四大バイクメーカーの一つ、スズキが製造したビッグスクーターで、海外ではバーグマンの名前で販売されています……というか最近、日本国内でもバーグマンブランドで販売されるようになりました。前述のビッグスクーターブームの頃はホンダのフォルツァ、ヤマハのマジェスティとともに「ビッグスクーター御三家」の一角に数えられていたのだとか。排気量クラスとして 125c.c. 、 200/250c.c. 、 400c.c. の三クラスがありますが、一番数が多いのは 250c.c. だと思います。わたしのももちろんスカイウェーブ 250 。

購入当初のスカイウェーブ 250 の後ろ姿

 わたしの愛車となったのは後期型の CJ-44/45 型で、ロングツーリングに便利な大型のウインドスクリーンが装着されたものでした。ロンツーと言えば、それに対応して ETC ユニットを追加装備しています。少々古い中古車なので、ブレーキやウインカーはもちろん、フロントヘッドライトまで灯火類は全て電球バルブ式でしたが、後にシート下のメットインスペースを照らすトランクランプまで含めて全て LED に交換しています。ウインカーの LED 化はウインカーリレーも LED 対応の IC リレーに変えなければならなかったので、大変だった(遠い目)

LED 化したトランクライト

 スクーターとしてのユーティリティは最高で、通勤バイクとしてもほぼ最強でした。積載量を増やす定番のカスタムであるリアボックスなど装着しなくても、大容量のシート下メットインスペースに夕飯用のお買い物レジ袋にプラスして箱ティッシュ五個パックがそのままスポンと収まってしまう荷物収納能力は優秀の一言に尽きます。

 もちろん主目的だったツーリングでも最強の相棒でした。 250c.c. クラスのバイクとしては大柄で車体重量も重く、その取り回しは大変でしたが、重いと言うことは安定性があることの言い換えでもあります(逆に軽快な PCX は安定性がイマイチで、路面に滑り止め溝が彫られたワインディングロードを走るのは少々不安なくらいでした)。泊まりがけのロングツーリングで山口県の秋吉台や角島大橋、九州は熊本の阿蘇山などにコイツに乗って出かけました。

角島大橋に行ったときのスカイウェーブ 250

唯一の弱点

 まさに「最高の旅の相棒」だったスカイウェーブ 250 でしたが、残念ながら全く不満がないわけではありませんでした。それは「スカイウェーブ 250 が」というより、「ビッグスクーターという乗り物」自体に対する不満でした。

 そもそもビッグスクーターはホンダのフュージョンを嚆矢として誕生した「大人のためのラグジュアリーなバイク」だったのだと言います。ビッグスクーターが生まれた 1990 年代、バイクという乗り物は若造が乗るチャラチャラした代物でした。そんな軽薄なイメージを危惧したバイクメーカー各社は「落ち着いた大人のためのバイク」としてビッグスクーターを企画し、市場へと送り出したのです。

  ところが、その結果は皮肉なものでした。確かに製品としてのビッグスクーターは市場で大ヒットし、一大ブームを巻き起こしました。その人気に応え、バイク各社は次々に新型のビッグスクーターを市場投入することになります。

 しかし、そんなビッグスクーターを大喜びで購入していたのは「ラグジュアリーな製品を好む落ち着いた大人」ではなく、「チャラチャラした若造」ばかりだったのです。彼らは車体に派手な電飾を施し、オーディオ機器と大型スピーカーを装着してジャカジャカ音楽を垂れ流しながらストリートを疾走しまくりました。ビッグスクーターブームとはそんな連中によるムーブメントだったのです。

 かくしてビッグスクーターの世間に於けるパブリックイメージは「大人のためのラグジュアリーな乗り物」ではなく、「半ヘルを斜に被ったチンピラが治安の悪い街で乗り回す乗り物」となりました。むしろ大人がビッグスクーターに乗っていると、「いい歳をした大人がそんな代物に乗って、何イキってんだ?」と思われかねません。

 ビッグスクーターブームの終焉から既に十年以上が経過し、街でビッグスクーターの姿を見かけた人は実際にはそんな感想をもう持たないのかも知れません。しかし、ビッグスクーターブームの惨状を知っている“いい歳をした大人”であるおじさんは「ひょっとして自分は世間からそんな冷たい視線で見られているのではなかろうか?」と危惧してしまいがちなのです。これはイメージの問題なので、「ビッグスクーターに乗るのを諦める」以外に具体的な対処策はありません。

「いや、スカイウェーブ 250 はとてもいいバイクで、通勤や買い物に便利だし、ロングツーリングもこなせるユーティリティプレイヤーなんだけど、俺みたいないい歳をしたおっさんがこんなチンピラ専用バイクに乗ってるのは世間体としてどーなのかなー」

 内心、そんな気持ちを抱えつつ、「でもスカブが便利だから仕方ないね」とスカイウェーブ 250 に乗り続けていたわたしは、バイクに乗りだしてから出かけるのが恒例になっていた大阪モーターサイクルショーでまたしても衝撃的な出逢いに遭遇することとなるのです。

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