今回ご紹介するのは鳥取県境港市竹内にある「みなと温泉ほのかみ」です。以前に同じ境港市にある「御宿 野乃境港」をご紹介しましたが、今回の「ほのかみ」は“温泉施設のあるホテル”ではなく、日帰り温泉施設になります。
海辺の温泉
鳥取県の西部、秀峰・大山の麓にある米子から北西方向に島根半島に向かって伸びる弓ヶ浜半島はその名の通り弓のようにやや反り返った形の砂州からなる半島です。半島の基部は米子市、先端に近い部分は境港市の市域となります。
この地形が形成されたのはほんのここ一千年ほどのことで、西暦の八世紀頃に記された出雲国風土記によれば、その頃まだこの地には半島地形は存在しなかったとのこと。現在の半島先端部、境港市の中心市街域がある辺りは米子とは海で隔てられて接続されておらず、“夜見ノ島”という独立した島であったらしいのです。その後、たたら製鉄のために日野川へ土砂が大量に投入され、流れ下って美保湾へと注いだそれが島根半島を回って東向きからぐるりと西へと向きを変えた海流に乗せられて夜見ノ島周辺へと堆積し、本土とつながって半島地形を形成したのでした。従って、弓ヶ浜半島という地形はほんの数百年の歴史しかないわけですが、その“比較的若い土地”である境港でも一番新しいのが昭和町と竹内町とになります。その名の通り、昭和時代になってから西日本有数の漁業基地となった境港の港湾施設を拡張するために大規模な埋め立て工事が行われ誕生したのがこの二つの町なのです。
もっとも、鳥取県が主導して造成されたこの埋め立て地は作られはしたものの当初はあまり注目はされず、結構長い間だだっ広いだけの空き地として放置されていました。現在では水産加工工場や食品工場、大型ショッピングセンターなどが建てられ、“荒涼とした埋め立て地”というイメージはだいぶ薄れています。そんな竹内埋め立て地の片隅に温泉施設「ほのかみ」は存在します。
わざわざ地下 1,500m まで掘削した天然温泉とのこと。
周辺情報
半島本体から北東方向へやや歪な四角形で美保湾へと突き出した竹内埋め立て地の南東端にある「ほのかみ」は周辺にいくつかの観光施設があります。
まず、西隣には夢みなとタワーがあります。鳥取県営の観光施設で、全面ガラス張りで眺望のよいタワーの他、カフェやイベントスペースがあり、県のイベントなどがよく開催されています。

その隣には水産品やその加工品を手広く販売する「境港さかなセンター」という施設もあったのですが、残念ながら経営破綻によって現在は営業していません(目をそらしながら)。
また、北側には大型のクルーズ船が着岸可能な境夢みなとターミナルもあります。ここは CIQ (税関/入出国管理/検疫)の機能施設を備えた西日本有数の国際旅客船ターミナルで、数多くの大型国際クルーズ船が寄港します。米子にある王子製紙米子工場に原料である木質チップを供給するために境港には元々大型貨物船が着岸可能な港湾施設があり、そこを拡張して大型の観光クルーズ船のためのターミナルを整備したのです。大型観光バスが利用可能なバスターミナルや、広い駐車場なども併設されています。わたしが訪れた日も、岸壁にはクソバカでかいクルーズ船が停泊していました。

施設内の様子
「ほのかみ」にはおよそ三十台ほどの車が駐められる駐車場があります。万が一に満車の場合は最悪、前出した境夢みなとターミナルの駐車場にこっそり駐めることも可能です。

駐車場から階段を上がったところに本館があり、向かって左側に家族風呂のある別館があります(階段を迂回する身障者用のスロープも完備)。本館には受付の他、男女別の大浴場、休憩室が備えられています。家族風呂は 10 室あるとのこと(わたしは未確認)。
料金
大浴場の利用料金は大人一人 850 円です ( 2025 年 10 月時点)。会員登録することで、会員割引を受けることもできます。家族風呂の利用料は 2,000 円なようです。
浴槽
浴槽は大きく内風呂と外風呂に分かれており、内風呂は二十人は軽く同時に入浴できそうな大風呂(ジェットバス付き)とサウナ、水風呂になっていて、洗い場も十か所程度あります。外風呂には五〜六人が入れる程度の露天風呂があり、外気浴しながら休憩できるベンチも設置されています。天気がよい日は美保湾のシービュー越しに大山の美しい姿を見ることもできます。
なお、露天風呂のすぐそばには岸壁があって、釣り客の姿をちらほら見ることがありますが、腰上の高さまで板塀があるので、股間のご立派をご開帳wしてしまうことは無いと思われます。
他施設
休憩室には複数台のドリンク自販機が設置されており、風呂上がりの水分補給に困ることは無いと思います。




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